マーケティング心理学「影響力の武器」で紹介された6つの心理効果

マーケティング心理学という言葉が注目され始めたのは、1990年代、ロバート・チャルディーニ氏が出版した「影響力の武器」という本からでしょうか。日本では「影響力の武器 第三刷」の出版を機に、「マーケティング心理学」という言葉が注目を集めました。
この本の中では、チャルディーニ氏が行ってきた数々の実験をもとに、人がどのような心理効果に影響されるのかを解いたものです。

細かく分類すれば数百ものマーケティング心理学の理論がありますが、基本的にはチャルディーニ氏が公表している「返報性のルール」「コミットメントと一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」という6つに集約されます。
なので、まずはこの6つを簡単に紹介しましょう。

この6つを押さえたうえで、実際に応用できるマーケティング心理学のテクニックを紹介します。

返報性のルール

マーケティング心理学:返報性のルール
「誰かから何かしてもらったら、何かをお返ししななくてはならないと感じてしまう」という心理を返報性のルールといいます。
これは人間が社会的動物として進化する中で根付いたものです。人から何かをされて、何も返さないことに対し、多くの人は居心地の悪さや不快を感じます。

職場でちょっとしたお菓子を頻繁に渡す人のプロジェクトはうまくいきます。
なぜなら、ちょっとしたお菓子を渡すことで、渡された人は何かしらお返しをしないといけない、職場であれば仕事で貢献しなければいけないと感じるからです。

営業やマーケティングでもかなり応用されている心理効果です。

コミットメントと一貫性

「一度何かを決定したり宣言したりしてしまうと、それをひっくり返して別の意見を述べにくくなる」という心理を、コミットメントと一貫性といいます。
成功哲学では、夢や目標を紙に書いたり、人にいったりすることを推奨されていますが、これもコミットメントと一貫性を利用したものです。

営業やテレアポのテクニックの一つに「イエスセットトーク」というものがあります。イエスセットトークとは、相手が「イエス」と答えるような簡単な質問を繰り返し、「ノー」と答えるか迷う質問でも「イエス」といわせてしまうものです。
あなたも「あれとってきて」と頼まれた後、「ついでにあれもお願い」といわれたらなかなか断れないのではないでしょうか。これがコミットメントと一貫性です。

社会的証明

「自分ではそういう人間ではないと思いながらも、世間一般の大多数が行っている行動に影響されてしまう」という心理を、社会的証明といいます。
これほど広告やマーケティングでよく使われている影響力の武器はありません。それほど強力ということです。

人は、何かを判断するとき、自分の考えではなく周りの人の大多数がどう考えているかを基準に判断します。
なにかブームが起こったとき、それが本当に自分の好みに合うか、正しいのかを判断することはありません。なぜなら「みんなが正しいといっていることはだいたい正しい」と考えるのが人の本能だからです。

さくら(おとりの観客)という言葉をご存知と思いますが、日本では江戸時代から歌舞伎を無料で見る代わりにその場を盛り上げることを生業にする役者がいたようです。なぜさくらが効果的かというと「盛り上がっている=面白い」という社会的証明が働くからです。

好意

マーケティング心理学:好意
「自分が好意的に思っている相手(友達や恋人、家族など)から勧められると、良いものだと信じてしまう」という心理を、好意といいます。
ある実験では、商品の購入を決めさせる力は商品そのものの好感度よりも、その商品を売っている人に対する好感度のほうが2倍も強かったというデータがあります。

「○○出身なんですか!私の親戚にも○○出身者がいまして、良いところですよね」といったアイスブレイクトークなどは一般的ですよね。
アメリカの優秀なセールスパーソンの中には、鞄に大量のたばこを入れておいて、相手が喫煙に席を立つと自分も立ち「自分も同じたばこを吸っているんですよ」と相手と同じたばこを取り出す人もいるそうです。

これらは相手に好意を伝え、さらに好意を持ってもらうための戦略です。ビジネスを成功に導くため、相手との関係性を深めることも重要です。

権威

「何か権威(権力、肩書、制服、専門知識、ルックスや身なり)のある人からの言葉には、あまり考えずに従いやすくなる」という心理を権威といいます。
肩書、経験を持つ人に人は動かされやすいものです。詐欺師ほど立派なスーツを着て、一等地にオフィスを持ちます。「一等地にオフィスがあって立派なスーツを着て、これだけ権威のある人なら安心だ」となるからです。

こうした心理は学校教育などを通じて形成されると考えられがちですが、より本能的なものです。権威のある人(つまり専門家、能力のある人)に従うことが正しい、というのは狩猟時代から変わっていません。

希少性

「数が少なかったり、日時が限定されていたり、滅多に手に入らないといったものには、そんなに欲しくなくても欲しくなってしまう」という心理を希少性といいます。
数が少ないものほど価値を感じる。高値で取引されるのは、美しい宝石ではなく埋没量が少ない宝石です。これと同じ理論です。

希少性の法則は「人は何かを得るよりも失うことに強く反応する」という心理から成り立っています。
「限定100個」といわれると、今買わないともうそれが手に入らないと感じます。手に入れる喜びよりも、手に入らない苦しさのほうに反応してしまうため、この手のセールが有効なのです。

「○時間限定セール」「限定○個!」「地域限定」など、人はとにかく「限定」という言葉に弱いです。それは希少性という心理効果がそれだけ強烈だからと言えます。

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